スリムシャフトとは
スリムシャフトは、ヨネックスがシャフト(グリップと打球面をつなぐ棒の部分)を細くすることで、空気抵抗を抑えて操作性を高めることをねらったシャフト設計の呼称です。ヨネックスの公式テクノロジー紹介では「SHAFT(シャフト)」のカテゴリーに分類されており、細さのグレードごとに名称が付けられています。本記事で扱う「エクストラスリムシャフト」「ウルトラスリムシャフト」「スーパースリムシャフト」は、その系譜にあたる呼称です。
公式では、この3つは「EXTRA/ULTRA/SUPER SLIM SHAFT(エクストラ/ウルトラ/スーパースリムシャフト)」としてまとめて紹介されています。加えて、これらより上位に位置づけられるハイパースリムシャフト(HYPER SLIM SHAFT)があり、ヨネックスはこれを同社史上もっとも細いカーボンシャフトと説明しています。
公式の説明
ヨネックスは「エクストラ/ウルトラ/スーパースリムシャフト」を、公式テクノロジー紹介で次のように説明しています。
よりスリム化されたシャフトが空気抵抗をカットし操作性を高める。
製品の紹介でも同じ考え方が示されています。たとえばNANOFLARE 1000 Zの公式ニュースリリースでは、「シャフト部には弾きと振り抜きを両立する『SUPER SLIM SHAFT』を採用」と記載されています。細くすることで振り抜きのよさ(操作性)と弾きを両立させる、という位置づけです。
より上位のハイパースリムシャフトについては、公式は「ヨネックス史上最も細いカーボンシャフト。シャフトを細くすることで空気抵抗をカットしながら、中実設計とすることで復元力もアップ」と説明しています。細さで空気抵抗を抑えるという方向性は共通で、そのうえで中身の詰まった構造により反発性を確保している、という説明です。
公式に確認できるのはこの範囲までです。エクストラ・ウルトラ・スーパーの3つがそれぞれ何ミリなのか、どれがどれだけ細いのかといったシャフト径の具体値や、3つの相互の違いを数値で示す情報は公表されていません(当サイトが確認できた範囲では、公式は3つを1つの技術としてまとめて紹介しています)。相対的な位置づけとして公式に読み取れるのは、ハイパースリムシャフトが同社で最も細い、という一点です。空気抵抗を「どれだけ」減らすかといった性能の数値も示されていないため、当サイトでは公式の定性的な説明の範囲で扱っています。
収録データでの搭載例
当サイトの収録データで、シャフトの技術欄に「スーパースリムシャフト」(現行モデルでは3段階を併記した「エクストラ/ウルトラ/スーパースリムシャフト」の形)の記載があるのは38機種で、内訳は現行27機種・廃番11機種です。ASTROX・NANOFLARE・ARCSABER・DUORAといった主要シリーズを横断して使われている、ヨネックスの中核的なシャフト技術のひとつです。
現行の主力ラインでは、技術欄に3段階を併記する「エクストラ/ウルトラ/スーパースリムシャフト」表記が中心で、これにあたるのは26機種です(廃番のASTROX 99 PRO(2021年発売)を除く25機種が現行)。代表的なところでは、ASTROX 99 PRO、NANOFLARE 1000 Z、ARCSABER 7 PRO、DUORA Z STRIKEなどが挙がります。
グレード名を単独で記した表記は、主に前の世代のモデルに残っています。「スーパースリムシャフト」単独で表記するモデルには、廃番のDUORA 10などのほか、現行のNANOFLARE JUNIORとARCSABER 7 TOUR(英字表記の「SUPER SLIM SHAFT」)があります。さらにさかのぼると、「エクストラスリムシャフト」を記載するのはVOLTRIC Z-FORCE IIとVOLTRIC GLANZの2機種、「ウルトラスリムシャフト」を記載するのはVOLTRIC LD-FORCEと旧NANOFLARE 800の2機種で、いずれも廃番モデルです。エクストラ・ウルトラという呼称はVOLTRIC世代を中心に使われ、その後はスーパースリムシャフト、そして現行では3段階の併記へと表記が移ってきた流れが読み取れます。
最上位のハイパースリムシャフトは、フラッグシップのASTROX 100 ZZとASTROX 100 ZZ VAの2機種に搭載されています(いずれも現行)。
選ぶときの見方
スリムシャフトはシャフトの「細さ」に関わる設計で、シャフトの硬さ(フレックス)とは別の軸です。細いことがそのまま硬い・柔らかいを意味するわけではありません。実際、スーパースリムシャフトの記載がある38機種でも、硬さの公式表記は「極めて硬い」3機種・「硬い」13機種・「ふつう」11機種・「柔らかい」5機種に分かれています(残る6機種は硬さの表記なし)。スリムシャフトの記載があっても、それは細さの系譜を示すものだと読むのが安全です。
また、シャフトが細くても素材はカーボン系です。細さの設計と、何のカーボン素材でできているかは別の話なので、両方を合わせて見ると仕様欄が理解しやすくなります。実際の打球感は、シャフトの細さ単体ではなく、重量(U規格)や他の搭載技術との組み合わせで決まります。
エクストラ・ウルトラ・スーパーの違いは公式に数値で示されていないため、グレード名だけで細さの差や優劣を判断することはできません。搭載の有無は各モデルの詳細ページの搭載技術欄で確認できます。なお、シャフトを細くする、あるいはしなりの位置を工夫するといった設計はメーカーごとに独自の呼称があり(たとえばリーニンのUHBシャフトはしなる位置に着目した別の呼称です)、名称や説明が異なるため横並びの比較はできません。当サイトでは各モデルの公式表記をそのまま収録しています。気になるモデルはラケット検索から探してみてください。