ラリー中は自由に動ける
ダブルスの陣形を理解する前提として、まず規則を押さえておきましょう。競技規則では、サービスが打ち返されたあとのラリー中は、自分のサイドであればどの位置から打ってもよいと定められています(競技規則第11条第2項、世界バドミントン連盟の規則11)。左右の立ち位置が固定されるのはサービスのときだけで、ラリーが始まれば2人は自由に動けます。この“ラリー中は自由”という仕組みがあるからこそ、2人でコートを分担する陣形が成り立ちます。サービス時の位置の決まりはダブルスのルールとサーブ順・ポジションにまとめています。
以下で紹介する陣形の呼び名(サイド・バイ・サイド、トップ・アンド・バックなど)は、規則の用語ではなく、指導やプレーの現場で一般に使われている呼称です。
守りの陣形:サイド・バイ・サイド
サイド・バイ・サイド は、2人がコートを左右に分けて、横に並んで守る陣形です。コートを縦の中心線で半分に分け、それぞれが自分の側の前から後ろまでを担当します。
- 向いている場面: 相手に攻められているとき(守勢)。相手のスマッシュがどちらのコースに来ても、担当を決めておけば拾いやすい
- 考え方: 左右の広い範囲を2人でカバーするので、打ち下ろしへの守りが安定する
相手に上から打たれる展開では、この横並びで受けるのが基本になります。
攻めの陣形:トップ・アンド・バック
トップ・アンド・バック(前後)は、1人が前、もう1人が後ろに位置する陣形です。「フロント・アンド・バック」とも呼ばれます。
- 向いている場面: 自分たちが攻めているとき(攻勢)。後ろの人が上から打ち込み、前の人がネット際の返球をおさえる
- 考え方: 前後で役割を分けることで、打ち下ろし → ネット前の押し込み、という攻撃の連続をつくりやすい
前の人はネット前の球を、後ろの人は頭上からの攻撃を担当します。攻めるときは前後、守るときは横並び、と覚えると整理しやすくなります。
入れ替わり(ローテーション)
実際の試合では、この二つの陣形は固定ではなく、状況に応じて入れ替わります。これを ローテーション と呼びます。
- 攻めている側が相手にうまく返され、守勢に回るとき: トップ・アンド・バック → サイド・バイ・サイドへ移行
- 守っていた側が高い球を上げさせて攻勢に転じるとき: サイド・バイ・サイド → トップ・アンド・バックへ移行
つまり、球の状況(自分たちが上から打てるのか、上げさせられているのか)に合わせて、2人の位置を絶えず調整していきます。前述のとおりラリー中は自由に動けるので、この入れ替わりはルール上まったく問題ありません。息を合わせて動くために、どちらが取るかの声かけ(コミュニケーション)も大切になります。
まずは役割分担から
初心者のうちは、細かいローテーションよりも、「攻めているときは前後」「守っているときは横並び」という大きな役割分担を先につかむのがおすすめです。2人がどちらも同じ球を追ってぶつかったり、逆に2人とも同じ場所を空けてしまったりを防ぐだけでも、ダブルスはぐっと安定します。
なお、同じサイドの2人が続けて打つとフォルトになる点など、ダブルスならではの反則もあります。プレー上の反則はフォルトの一覧と具体例を確認してください。種目ごとのコートの使い方の違いはシングルス・ダブルス・ミックスの違い、動きの土台は基本フットワークにまとめています。実際のトップ選手のダブルス用具の傾向は、男子ダブルス・女子ダブルス・ミックスダブルスの各まとめで確認できます。