先に、この記事で扱う決まりを表にまとめます。
| 場面 | 決まっていること | 根拠 |
|---|---|---|
| 申し込み後 | 締切以降のパートナー変更は認めない | 東京都協会の共通要項・大会運営規程第19条 |
| 棄権 | 棄権者は以後の種目に出られないが、パートナーは除く | 大会運営規程第19条 |
| ラリー中 | 助言を受けられるのはシャトルがインプレーでないときだけ | 競技規則第16条第5項 |
| 態度 | 不品行は主審の注意の対象 | 競技規則第16条第6項・審判用語 |
| ウェアの色 | 準々決勝からペアは同じか類似した色とデザイン | 大会運営規程第23条 |
| 練習の交代 | 12球ずつなど数で決めて交代 | BWF Shuttle Time |
相手がいて成立する競技だから、規程がペアに触れている
ダブルスは、申し込みから試合後まで、2人がひとつの単位として扱われます。「気持ちよく組む」という話の前に、規程が2人の関係にどこまで踏み込んでいるかを押さえておくと、判断に迷う場面が減ります。ダブルスの規則そのものはダブルスの規則、コート上の動き方はダブルスのローテーションにまとめました。
申し込みの締切を過ぎたら、ペアは変えられない
東京都バドミントン協会の各大会共通要項は「締切期日以降のパートナーの変更及び登録選手の変更は認めない」と明記しています。大会運営規程第19条も、本会主催の第1種大会の個人戦においては組合せ決定後にエントリーの変更ができないと定めています。
つまり、申し込みの前に「本当に出られるか」を互いに確かめるのがマナーの実体です。締切後に予定が変わっても、別の人と組み直すことはできません。エントリーの手順は大会の申し込みと出場資格、当日の流れは大会でのマナーを参照してください。
棄権は、ペアの相手にどう及ぶか
第19条は、マッチを棄権した者はそれより後の同一種目および同大会にエントリーしている他の種目すべてに出場できないと定めたうえで、「ただし、ダブルスの場合、棄権したプレーヤーのパートナーは除くものとする」というただし書きを置いています。棄権による出場停止は棄権した本人にかかり、組んだ相手の他の種目までは巻き込まないということです。
第26条は、プレーヤーが出場すべきマッチに出場しない場合、主審はこれを棄権とみなしてレフェリーに報告し、相手側の勝ちをコールすると定めています。全日本シニアバドミントン選手権大会の「競技・審判上の注意」は、試合開始後の棄権について、代表者または当該プレーヤーがレフェリーに所定の棄権届を提出することとしています。黙って帰らない、という手続きが文書になっているわけです。
団体戦には別の規定があります。第20条は、大会開始後にプレーヤーの責任ではない状況(ケガ、病気、弔事など)が発生した場合、残りの登録プレーヤーでマッチが可能ならこれを認めるとしています。棄権とウォークオーバーの扱いは棄権とウォークオーバーにまとめました。
ラリー中に指示は出せない
コート上でパートナーに声をかけるタイミングにも決まりがあります。競技規則第16条第5項は、プレーヤーが助言を受けられるのはシャトルがインプレーでないときで、かつ次のラリーに向けて位置につくまでの間としています。また、第16条第2項のインターバルの場合を除いて、マッチ中にコートを離れることは主審の許しがない限り認められていません。
これはコーチからの助言についての条文ですが、ラリーの最中は指示を出す時間ではないという構造は、ペアの間でも同じです。声を掛け合うのはラリーが切れてから次の配置につくまで。助言の扱いはコーチングの規則、プレーの継続と中断はプレーの継続と不品行に詳しくまとめています。
態度は「不品行」として規則に書かれている
第16条第6項は、プレーヤーがしてはならない行為として、プレーを故意に遅らせたり中断したりすること、シャトルに手を加えて変形させたり故意に壊したりすること、下品で無礼あるいは不適切な態度や言動をとること、そのほか競技規則で想定される範囲を越えた不品行または不快な行動を挙げています。
審判用語には、実際にコールされる文言が並びます。「対戦相手にこぶしを挙げてはいけません」「対戦相手に叫び声をあげてはいけません」「そんなに大声で叫んではいけません」。ラケットを床に叩きつける、シャトルを蹴るといった動作が、主審の注意の対象として想定されているということです。相手に向けた行為が規則の対象なら、同じ動作を自分のミスに対してやったときも、コートの上では同じように見えます。
試合が終わったあとについても書かれています。全日本シニアの「競技・審判上の注意」は「試合が終了したら、勝敗に関係なく主審・サービスジャッジと握手するよう心がけてください」としています。
ウェアの色は、当日ではなく前もって相談する
大会運営規程第23条は、全日本総合バドミントン選手権大会と国民スポーツ大会バドミントン競技について、準々決勝から、ペアはマッチ中に色とデザインが同じか類似したシャツとショーツ(または同等の衣類)を着用しなければならないと定めています。対戦相手と色が明確に分かれていない場合は、申し込み締め切り時のランキングが低い側が変えることになっています。
色をそろえる必要が出る大会に出るなら、申し込みの時点で話しておく項目です。服装の決まりは服装のマナー、条文としての読み方は着衣と広告の規則にまとめました。
練習では「交代の合図」を先に決めておく
世界バドミントン連盟の指導者向け教本Shuttle Timeとレッスンプランは、2人1組の練習について、役割を交代する基準を数で示しています。日本語版のレッスンプランには「一人12回ずつシャトルを打ったら役割を交代する」「12球ずつ打ったら交代する」「12回打ったら交代する」といった指示が繰り返し出てきます。英語版には10本で交代する形(Change roles after 10 shots)や、時間で切る形(Change roles often (30-40 sec))もあります。
グループでの扱いも書かれています。Teachers' Manualは、1面のコートに3組まで入れられること、役割と位置を変えるためのローテーションを含めること、一定時間が過ぎたらコートに入るグループを入れ替えることを挙げています。組み合わせについては、mixed-ability teams(能力の異なる者を混ぜたチーム)が、運動が得意でない参加者にとって前向きな経験を強めるという記述があります。
球出し役に回る時間を数で決めておくと、上手い人ばかりが打ち続ける状態は自然に避けられます。2人でできる練習は2人でできる練習メニュー、少人数のときは少人数での練習メニュー、初心者と経験者が混ざる場は初心者と経験者が混ざる場でのマナーにまとめました。
明文が無いこと
「ミスを責めない」「サーブのときは相手に配慮する」「組む相手は毎回変える」といった、ペアの間の作法そのものを定めた明文は、競技団体の規程にも公的機関の資料にも見つかりませんでした。この記事では扱っていません。規則が触れているのは、申し込み後のペア変更・棄権の扱いと手続き・助言できるタイミング・不品行として禁じられる行為・ウェアの色までです。
ダブルスのパートナー選びをデータの側から考える視点はダブルスのパートナーは変えたほうがいいのか、場面ごとのマナーはバドミントンのマナー 総まとめから引けます。